7. 流浪の旅へ

そして9月中旬、中部地方から福岡へ再び引っ越すことに。5月に越してきたばかりだから、5ヶ月少しの滞在となった。子どもが小さかったから遊びにいくこともままならず、生活をエンジョイする暇がなかったなぁ…。コメダ珈琲店でのモーニングを頂きながら午前中をだらだら過ごすのが唯一の楽しみでした。

同時にリストラされたもう一人の同僚は、今頃どうしているだろうか。彼はしばらく中部地方で就活をしてあたりをつけてから福岡に戻るとかいっていたけれど。彼も私と同様、中途で入った組。そういえばリストラメンバって中途組と40歳以上の生え抜きばかりだったな。費用対効果が薄いんだろうね。

転勤時には歓迎会をしてくれたのに送別会はないというw。リストラ組で集まって飲んで騒いで帰ったら嫁激怒「そんなことしている場合か!就活しろ!」と。平日から飲むこともなく、小遣いもカットされ楽しみもインターネッツだけで無駄遣いもせず、首になったことを癒すために一晩飲んだだけでこれ。

ほんと女性っていうのはほんと。常時ステータスが「世の中を恨む」モードに入っている嫁にはなにをいっても無駄だし、無茶な約束させられるし(ex:1ヶ月で再就職して)破ったら「どして嘘つくの!」と迫ってくる。約束っつっても一方的な宣言であり俺は了承していないのよね。こんなのばっか。

このクビになって福岡に戻ってくる、という時期が一番家の中が混乱していました。以前も書いたかもしれないが、嫁は祖父が大企業の研究者で小金持ち、父も大企業でそこそこ稼いでいたので、夫は大企業に勤めるし会社はツブレないしクビにもしないし大きな一戸建てを立てるものという決め付けがある。

ただ嫁は賢いし柔軟なので、流石にそういう社会適応能力を持つ夫では「ない」し、世の中不景気で仕事がなく、再就職も難しいし、夫をクビにした会社にも会社の都合がある、ということは理解しているんだよ。だけれど、そういう目にあうのがなぜ「私(嫁)なのよ?私が一体なにをしたっていうのよ」という気分が抜けない。

嫁「私が極悪非道でろくでなしならこういう目にあうのも納得がいく。だけれど、夫の親に従い、子供を産み育て頑張っている私にこんな不幸が訪れるなんて、意味がわからない!」というのですよ。嫁は因果応報とか、頑張ったら成果が出る、みたいな単純な法則で世の中が構築されていると思っている。

だけれど、世の中を見わたせば「矛盾」なんていうものはゴロゴロ転がっているわけでね。人生がどっちに転ぶかなんて分からないじゃない? そういう現実を受け入れる器がないんだろうなぁ、そういう現実の辛さを世間や親やその他の人たちがカバーしてくれていたから、そんな目に合わなかっただけで。

変な言い方ですけれど、現在の嫁は以前に比べて随分物分りの良い女性に変化している。これも今から思えば私のリストラによる理不尽な状況をくぐり抜けて手に入れた強さなのだろうし、同士に子育てによる子供の理不尽なアレコレに対処してきたからだ。まああれだ、人間的深みが出たのだろう。