6. 身内の反乱

毎日顔合わせるたびにおおきなため息をつかれ、いい加減にしろというと泣き崩れ、自分の不幸を延々と語りだす。当時は子育ても加わって欝だったこともあるが、お互いボロボロの精神状態になったよ。唯一元気だったのが娘で、彼女の笑顔だけが希望だった。いや、これはホント。子供、侮れないよ。

9月は怒涛だった。労働基準局に相談しても「法律上問題ありません」とにべもない。クビ確定なので少しでも有利な早期退職制度に応募することにした。会社へ告げた時の人事のあの嬉しさのあまり漏れてしまう微笑に殺意を覚えた。溜まっていた年休を消化するため、 9月の第1週には出社せずに済んだ。

親に事情を話すと「困っているなら家(実家)で暮らせば?」といわれて即飛びついたのがいけなかった。そっちに相談するより嫁に話をつけるべきだった。ここからまた嫁との確執が生まれることになるんだよ。人間ってピンチになるとその人の根っこの部分をうっかり見せてしまうのですねぇ。

そもそも今いる中部地方で生活するのに理由がなくなったので、まず福岡に戻ってから就職活動しよう、地元だし仕事もあるだろう、と思って動いてた。幸い福岡に戻るための家は実家がある。今住んでいる家の家賃も勿体無いからすぐに引越しできるよう早速契約を解除したんですね。嫁も了解したはず。

で、実際引越し業者を決めて、さあ数日後に引越そうとしてた矢先、親から電話があって。「やっぱりおまえたち家族を甘やかすのは良くない、だから同居しない」といきなり手のひらを返してきてさ。おいおいおいおい、どうすんだこの引越用にまとめた荷物や、契約を解除したこの部屋は?

是が非でも同居を拒否する親父。今思えばこのときから痴呆がはっきりしだしたわけなんだけれど…。さて、そんなことより。引越しを中止するのに係る費用より新しい住まいを探した方が特、ということで、無職なんだけれど部屋を探した。幸い特に仕事については詮索されず借りることができたんだけど。

今度は嫁が「あなたの親は酷い」という。そりゃ最もだ。「でもそもそもいきなり福岡に帰ろう家を解約したあなたが悪い。そもそも仕事福岡にあるの?中部地方で探してから引越しすればよかったじゃない。東京にも近いんだからそっちで探すとかして、決まってから引越せばよかったのに」

後出しジャンケンは必ず勝てるよなぁ、とぼんやり思いながら嫁の罵倒を聴いておりました。優先順位が嫁と異なっていたんだな。私は一番に地元である福岡で生活したい。そのためにまず引越しだろうと。嫁は第一にとにかく生活安定。確実に就職してからだろ、と。実際働く人間の意見は無視なわけ。

「あなたは生活のことを考えていない!」

いやいや、考えているからこそ、いろいろ考えて決断しているんだけど…。なにをやっても気に入らないんだよな。こういうモードに入っている以上どうしようもない、怒鳴られながらいつもぼんやりやり過ごしているんです。皆さんの家庭はどうですか?